甲南大学の受験対策ができる塾・予備校9選!入試の難易度や出題傾向を解説

甲南大学は兵庫県神戸市に本部を置く私立大学で、関西の準難関大学「産近甲龍」の1校に数えられます。文・理工・経済・法・経営といった一般的な学部のほか、知能情報・マネジメント創造・フロンティアサイエンスなど先進的な学部もあることが特徴です。

また、2024年4月には、学部相当の新しい教育課程「グローバル教養学環 STAGE」が新設されています。

産近甲龍に合格するためにはしっかりとした対策が必要です。この記事では、甲南大学の入試の基本情報から、出題傾向とその対策法について解説します。

併せて、受験対策として塾・予備校の利用を検討している人に向けて、選び方のポイントやおすすめの塾・予備校9選も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

甲南大学の入試の仕組みや難易度

まずは甲南大学入試の基本情報を見ていきましょう。

甲南大学の入試方式

甲南大学の入試方式には、一般選抜と「共通テスト併用型」「共通テスト利用型」の大きく3つがあります。共通テスト併用型は、一般選抜の教科と共通テストの得点を足して合否が決まる方式です。共通テスト利用型では、共通テストの得点のみで合否が決まります。

一般選抜と共通テスト併用型には前期・中期日程があり、共通テスト利用型は前期・後期に分かれています。どの試験も学部によって実施する方式・日程が異なるため確認が必要です。特に2024年度新設の「グローバル教養学環 STAGE」は、一般選抜では前期日程・3教科型のみである点にご注意ください。

また、外部英語試験の点数が基準を満たしていれば、英語の試験の代わりとできる試験方式もあります。英検やTEAP、TOEFL iBTなどを活用できるため、自分の成績を確認してみましょう。

甲南大学の入試は関西地方を中心に、東京や名古屋、福岡など全国16カ所で行なわれます。遠隔地からでもぜひ挑戦してみてください。

さらに、甲南大学では総合型選抜やスポーツ推薦など、一般選抜以外にもさまざまな入試を行なっています。総合型選抜で30人以上募集している学部もあるため、甲南大学が第一志望の人は要チェックです。

なお、2025年度の入試では、以下の変更が予定されています。

  • 一般選抜の日程が変更され、他大学との重複が少なくなる
  • 外国語の出題形式が全問マーク式に変更
  • 共通テスト利用型にて5科目型、6科目型の新設
  • 英検やGTECのスコアを活用できる「外部英語試験活用方式」が開始され、甲南大学独自の英語対策が不要になる可能性がある など

受験を検討している人は、甲南大学の入試要項をこまめにチェックし、変更点を把握しておくことが大切です。

甲南大学の入試の難易度

大手予備校グループである東進のデータによると、甲南大学の偏差値は56~59で、標準レベルの難易度です。ただし文学部は、すべての学科で偏差値59を示しており、難関といえます。

また、甲南大学が公表している2024年度の入試データを見ると、どの学部も2.0倍以上の倍率となっていました。特に文学部は4.1倍、経営学部は3.9倍、経済学部は3.8倍という人気ぶりです。

他校では、共通テスト併用型・利用型のほうが高倍率になる傾向があります。しかし、甲南大学は一般型のほうが高倍率な学部が多く見られます。逆にいえば、甲南大学の共通テスト併用型・利用型は他校と比べて倍率が低いため狙い目です。

甲南大学の出題傾向とその対策法

続いて、甲南大学の出題傾向と、それに合わせた対策法をお伝えします。

英語は過去問で出題パターンに慣れることが重要

英語の難易度は標準的で、難解な単語や内容はあまり出ません。しかし、それゆえに差が付きにくいので、ケアレスミスをしないことが重要です。

また、2025年度より記述式の英作文の出題がなくなり、全学部・学環共通問題となります。試験時間は70分に統一、回答方式はすべてマークシート方式となる点にも留意しましょう。

長文読解は同意語句、空所補充、内容把握からの出題がほとんど。出題形式がパターン化されているため、過去問で慣れておくことが重要です。

会話文問題は空所補充の選択式です。選択肢が10個もあるため、間違った組み合わせのものを消去法で消して確実に正解を選びましょう。

過去問を用いて出題傾向に慣れることが重要ですが、前述のとおり2025年度以降は出題形式や解答方式が変わるため、変更点も踏まえながら対策を進めてください。

国語は長めの評論に慣れ、常識問題も取りこぼさない

国語は評論文・古文という2題構成です。レベルは標準的ですが、評論文は4000~5000字とやや長めになっています。

評論文の大問には、漢字や接続詞といった国語総合分野も含まれます。国語総合の配点は少なくないため、取りこぼさないように注意してください。

読解についても、論理的な思考力が身に付いていれば、しっかり点を取ることができます。また、段落ごとの内容把握だけではなく、全体の流れを把握することも重要です。実際と同じ4000~5000字程度の評論文を解き、思考力を鍛えましょう。

古文も基本的な単語や文法の出題が多く、基礎知識が身に付いていれば、高得点を狙えます。標準レベルの参考書や単語帳を使い、知識を仕上げましょう。

数学は融合問題あり。全分野の基礎を完璧に

甲南大学の数学は、文系数学と理系数学に分かれています。理系数学は数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B(数列・ベクトル)からの出題です。全問記述式で、証明問題が出題される年もあります。全体的に標準レベルですが、応用レベルの問題が一部交ざっています。ここが差を付けるポイントとなるため、応用問題まで対策できるとよいでしょう。

頻出分野は、三角関数、数列、ベクトル、微分・積分など。融合問題も出されるため、全分野の基本を理解しておくことが重要です。また、証明問題は自分だけで対策しにくいため、予備校の講師などに添削してもらいましょう。

文系数学は数学Ⅰ・Ⅱ・A・B(数列・ベクトル)から出題され、空所補充式と記述式が交ざっています。難易度は基本レベルで、教科書の章末問題がしっかり解ければ問題ありません。

頻出分野は、図形と方程式、微分・積分などです。小問集合では幅広い分野から出題されるほか、理系数学同様に分野をまたいだ融合問題も多いため、すべての分野の基礎を身に付けておくことが重要です。

理科は教科書の内容を徹底的に理解すること

理科の場合、物理では記述式問題が出題されます。難易度は標準レベルですが、ときに難易度の高い問題も含まれる点に留意しましょう。記述式問題の練習を重ねつつ、基礎知識の理解を深めることが重要になります。

化学は選択問題や記述、計算、グラフを用いた問題など、幅広い出題形式の試験となることが特徴です。どの問題にも対応できるようにするためには、教科書の内容を暗記だけで済ませず、本質的に理解できるような学習が求められます。

地理歴史は幅広い分野の網羅的な学習を

甲南大学入試における世界史は、時代や地域に偏りなく出題されるのが特徴で、日本史はおもに出来事の流れや史料問題から出題される傾向があります。

やや細かい知識を問う問題や、ケアレスミスが生じやすい読み解きが必要な問題が出題される場合もあるため、教科書や資料集などを利用して網羅的に学習を進めることが重要です。加えて、過去問を活用し出題形式や問題文に慣れておくのも効果的です。

地理は地図や地形図の読み取りなどの基礎的な問題がおもに出題されるため、これらの基礎をしっかりと押さえておくとよいでしょう。

甲南大学の受験対策なら塾・予備校の活用がおすすめ

甲南大学の受験対策をより効率的に進めたいと考えている場合は、塾や予備校を活用するのがおすすめです。甲南大学はもちろん、大学受験対策として塾や予備校に通うことで以下のメリットが期待できます。

  • 大学受験特化の授業が受けられる
  • 志望校の出題傾向に合った学習プランで勉強を進められる
  • 進路相談や志望校についての相談やアドバイスを受けられる など

塾や予備校のなかには、甲南大学をはじめとした難関大学の入試問題を分析し、大学別・学科別に対策コースを提供している場合があります。これらのコースを受講すれば、より志望校に特化した授業を受けることが可能です。

また、生徒一人ひとりの学習レベルに合わせた、試験本番までの学習プランの提案やスケジュール調整など、学習管理をしてもらえる点も塾や予備校の強みです。

さらに、塾や予備校では進路や志望校に関する相談ができたり、最新の受験情報に基づいたアドバイスを受けたりすることもできます。「1人で受験対策を進めるのは不安」と考えている人にとっては、大きなメリットといえるでしょう。

塾・予備校を選ぶ際の6つのポイント

ここからは、甲南大学の受験対策として塾や予備校を選ぶ際に重視したいポイントを解説します。

合格実績

甲南大学や志望している学部の合格実績が多い塾や予備校は、より甲南大学の入試に沿った対策ができると判断する材料となり得ます。そのため、気になっている塾や予備校がある場合は合格実績をチェックし、甲南大学および志望している学部に合格者を多く輩出しているところを選ぶとよいでしょう。

ただし、合格実績をチェックする際は「実数」と「述べ数」を混同しないよう注意することが大切です。述べ数の場合、実際の合格数よりもカウントが多くなるためです。

また、塾や予備校全体ではなく、校舎ごとの合格実績を確認しましょう。自身が通おうか迷っている校舎があれば、優先的にチェックするのがおすすめです。

甲南大学合格に向けたカリキュラムの有無

甲南大学合格に特化したカリキュラムがあるかどうか、もしくは自身のレベルや合格までに必要な学習レベルに合わせて柔軟にカリキュラムが組めるかをチェックしましょう。

甲南大学受験特化のカリキュラムを受けたい場合は、甲南大学向けのコースを展開している塾や予備校がおすすめです。また、自身のレベルに合わせて学習を進めたい人は、個別指導がある塾や予備校が選択肢となるでしょう。

志望大学や自身に合ったレベルのカリキュラムで学習を進めることで、より効率的に合格を目指しやすくなります。

授業や講師の質

塾や予備校を選ぶ際、授業や講師の質、教え方、自分との相性をチェックすることも重要です。講師の質を確認する際は「授業の内容はわかりやすいか」「難しい内容や苦手な内容を細かくフォローしてくれるか」などを重視するとよいでしょう。

また、授業および教材の質は、甲南大学合格を大きく左右する要素となります。気になっている塾や予備校を実際に利用している周囲の人や、インターネット上の口コミなどを参考にするのがおすすめです。

指導スタイル

塾や予備校の指導スタイルは「集団指導」や「個別指導」「映像授業」などさまざまです。どの種類の指導スタイルが合っているかは、人によって違います。

例えば、すでに学習習慣が身に付いている人は、集団授業が適しているでしょう。人が多い環境では集中するのが難しい人や、より自身のレベルに合った指導を受けたい人には、個別指導が向いているといえます。

自身の学習習慣の有無や学習レベルに合う指導スタイルを採用している塾・予備校を選ぶことで、学習をより効率的に進められます。

通いやすさ

自宅から塾・予備校までの移動距離が遠いと、通うこと自体が負担となり、学習効率に影響が出るおそれがあります。したがって、できる限り自宅から通いやすい立地の塾や予備校を選ぶのがおすすめです。

また、オンライン授業や映像授業を受けられる塾や予備校を選ぶのも選択肢の一つです。移動の負担がなくなり、自宅で効率的に授業を受けられます。

学習やサポートの充実度

自習室や休憩室など、授業を受ける教室以外の学習環境をチェックするとよいでしょう。勉強に集中できる環境が整っている塾や予備校であれば、長時間・長期間の学習もストレスを最小限に抑えながら進めやすくなります。

併せて、勉強以外の受験関係の書類対策や小論文の添削、進路相談などのサポートが充実しているかどうかも重要です。これらは実際に校舎へ行き、スタッフにどのようなサポートを行なっているのか聞いてみるのがおすすめです。

甲南大学の合格を目指せるおすすめ塾・予備校9選

ここでは、甲南大学を目指す人におすすめの塾・予備校を9つピックアップしました。ぜひ参考にしてください。

東進ハイスクール・東進衛星予備校

「日本一の現役合格実績」を掲げる大手予備校の東進ハイスクール東進衛星予備校(以下、東進)。産近甲龍の合格者数も年々伸びており、2025年は594人が甲南大学に合格しています(現役生のみ、講習生含まず)。

東進の特徴は、映像授業を中心にさまざまな講座で偏差値を伸ばせることです。「志望校別単元ジャンル演習講座」では先輩たちの学習データとAIを活用し、しっかり学力が付く演習問題を出してくれます。

「過去問演習講座」では、10年分相当の共通テスト演習を行なえます。各科目のスペシャリストからの採点や添削指導によって実戦力を鍛えられるため、2次試験対策がしたい人にぴったりです。特に、共通テスト併用型・利用型で甲南大学を受けようと思っている人は、ぜひ活用しましょう。

また、東進は模試も充実しているため、定期的に受けることをおすすめします。年5回行なわれる「全国有名国公私大模試」にチャレンジしてみましょう。

マナビズム

マナビズムは、関西を中心に展開する難関私大専門塾で、兵庫県にも3校の校舎があります。具体的な人数は公表していませんが、甲南大学にも多数の合格者を出しています。

マナビズムの魅力は、私大専門塾ならではの手厚い対策です。早慶やGMARCH、関関同立をはじめ、難関・中堅私大の大学別講座を数多く開講しています。マナビズム独自の「リーズニングゼミ」という講座では、生徒が問題の解き方を講師に説明することで、知識を定着させていきます。

また、一人ひとりに専属の自習コンサルタントが付き、個別の勉強計画を立ててもらえることもマナビズムの特徴です。スタートが遅かったり部活が忙しかったりする人も、学習に追いつくことができます。

能開センター

能開センターは、幅広い教育事業を全国で展開するワオ・コーポレーションの予備校です。関西圏では大阪府の天王寺校・岸和田校で大学受験対策ができます。甲南大学の合格者数は公表されていませんが、2025年度は関関同立に949人合格していることから、産近甲龍にも強い予備校といえるでしょう(ワオ・コーポレーション全体の正会員の集計、テスト・講習のみの参加者は含まず)。

能開センターでは志望校に合わせてコースが設定されており、甲南大学志望の人には「有名大受験コース(Aコース)」がおすすめです。能開センターの専用教材を使い、オリジナルのカリキュラムで効率的に学習を進めます。「共通テスト8割獲得」を目標に基礎力を定着させることができ、甲南大学志望者にぴったりのコースとなっています。

甲南大学専門塾(鬼管理甲南大学塾)

甲南大学専門塾(鬼管理甲南大学塾)は、その名のとおり甲南大学志望を専門としている学習塾です。過去の入試問題を分析したうえで、生徒個人それぞれに合わせたカリキュラムを作成しているのが強みです。

また、受験生の学習スケジュールを1日単位で管理し「甲南大学合格のために今何をすればよいのか」を明確にするための指導を実施しています。「1人で甲南大学合格を目指すのは不安」「学習の進捗をこまめにチェックしてもらいながら勉強を進めたい」という人に最適な塾です。

河合塾

河合塾は、日本全国に校舎を展開している大学受験専門の学習塾です。難関大学への合格サポートを目的としたプログラムが充実している点が特徴で、2024年には甲南大学合格者を741名輩出しています。

河合塾の授業スタイルは集団型で、同じ学習レベル・同じ目的を持つ仲間と一緒に授業を受けられるのが強みです。すでに学習習慣を確立できている人や「甲南大学を目指す仲間と切磋琢磨しながら学習したい」という人に適しています。

加えて、入塾時にカウンセリングを行ない、その結果をもとに最適な学習プランを作成してくれる点も河合塾の魅力の一つです。

Z会の教室

Z会の教室は、難関大学受験に特化したカリキュラムを展開している学習塾です。首都圏や関西圏に校舎があるほか、全国を対象に大学受験を対象としたオンライン授業も提供しています。

Z会の教室の強みは、難関校合格に欠かせない記述力や論述力を、添削指導を通して養成している点です。90年以上の通信教育で培った添削指導を受けることで、答案作成力を磨けます。

甲南大学の受験対策のなかでも、特に記述問題や論述問題の克服を目指している人におすすめです。

駿台予備校

駿台予備校は、2024年に甲南大学合格者を205名輩出している予備校です。駿台予備校の特徴は、講師が常駐している講師室や、わからない問題を質問できるアプリの提供など、学習サポートが充実している点にあります。

アプリではスマートフォンやタブレットで問題を撮影して質問ができるため、自宅でも苦手を克服しながら勉強を進めやすいのが強みです。

また、駿台予備校の授業は1コマ50分と、ほかの塾や予備校に比べて短いことも特徴で、短時間で集中して学習に取り組みたい人に適しています。

武田塾

武田塾は「自習学習」による学習の定着を図っている学習塾です。授業ではなく生徒自らが問題を解く自習学習を重視し、集団授業をせず個別カリキュラムによる徹底指導などを行なっています。

自習学習をメインにしているため、自宅などで生徒が勉強をおろそかにしてしまわないよう、365日課題の実施や帰宅前の課題チェックなどを徹底しているのも特徴です。自宅でもしっかり取り組めるような学習習慣を身に付けながら甲南大学合格を目指したい人に適しています。

関西個別指導学院

関西個別指導学院は、ベネッセグループの個別指導塾として高い人気がある学習塾です。ベネッセグループの持つ情報力とノウハウを活用し、生徒の成績アップや甲南大学をはじめとした志望校合格をサポートしています。

指導スタイルは生徒一人ひとりに担当講師が付く個別指導型で、通塾目的に合わせたカリキュラムをオーダーメイドで作成してくれるのが特徴です。

講師陣は採用後に研修プログラムを実施したうえで生徒の指導に当たるため、講師の質が高いことも関西個別指導学院ならではの強みといえます。

まとめ

甲南大学の入試の難易度は標準レベルとされていますが、学部によっては難易度が高くなるほか、競争率が高い傾向がある点に留意する必要があります。

どの教科においても、試験対策としては基礎知識を確実に身に付けること、過去問を活用し甲南大学の出題傾向に慣れておくことが重要です。ただし、2025年度から試験の出題形式が変更される科目もあるため、変更点をしっかり把握しておきましょう。

甲南大学の受験対策として塾や予備校の利用を検討している場合は、合格実績や甲南大学に特化したカリキュラムの有無、授業や講師の質などをチェックすることが大切です。そのほか、通いやすさや指導スタイルが自分に合っているかも確認しながら、相性の良い塾・予備校を見つけるとよいでしょう。